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奈良国立博物館

以前奈良に20年以上住んだことがあるので奈良国立博物館へも興福寺へも 数え切れないほどの回数行っているが、先日たまたま奈良に用件があり時間が あいたので久し振りに行ってみた。 博物館では常設展のほかに特別陳列『宿院仏師-戦国時代の奈良仏師-』が 展示されていた。 仏像を見るのは好きで奈良に住んでいたときはよく多くの寺に行ったが 宿院仏師という言葉を聴いたことがなかった。
かれらは奈良の宿院町に工房を構えたため宿院仏師といわれたようです。


宿院町は現在の奈良女子大の近くで、今では静かな住宅街になっています。

それまでの仏像製作者は僧籍にあったそうですが、宿院仏師はもともと僧籍の 仏師のもとで仏像制作の補助的な役割を務めていたようです。
しかしそうした中で、仏像全体を制作する能力を身につけ、仏師を名乗って 独自の作風の仏像を制作しています。
今回の展示では31件の像がでていましたが、ほとんどのものは彩色をほどこさ ずヒノキ材の素地のままでした。
昔の人達は現代の我々とは仏教・仏像に対する思いが違っていたと思うので やはり彩色をほどこしたり、金箔をはったりしたものの方に信仰の対象として 価値を感じたと思はれます。
しかし、わたくしはこの素地の仏像の健康的で、清潔でひきしまった感じが とてもすばらしいと感激しました。



興福寺南円堂


南円堂もよく行ったところで、昔行った頃は御堂の前でお札だとかお守りとかを売っていた。
今回も特に行きたいとは思っていなかったが、奈良に住んでいる知り合いに 『今興福寺全体の大改修が進んでおり、南円堂も秘仏の特別開扉を行って いるので見てきたら』といわれ、南円堂の内部は見たことがなかったので入れてもらいました。
はいってみると御堂の内部は御堂の古びた外観とは違ってきれいに改修されており驚きました。
しかしそれより驚いたのは本尊の不空絹索観音と四天王のすばらしさです。
不空絹索観音は東大寺三月堂の像が有名で私もだいすきな一つですが、これとはまたちがった堂々たる巨像で三月堂の不空絹索観音が天平時代のひきしまった美しさなのに対して、この南円堂の不空絹索観音は鎌倉時代の力強さを感じさせる金箔の美しい像でした。
こんなすばらしい像がまだあるのはさすが奈良だとまたいちだんと奈良が好きになりました。