このたび財団法人田中丸コレクションは九州国立博物館と福岡市美術館に所蔵品を寄託するはこびとなりました。  寄託の内訳は九州国立博物館に重要文化財、磁器計207 点。福岡市美術館に陶器計203 点でございます。  田中丸コレクションはいまは亡き父、田中丸善八が百貨店経営のかたわら生涯をかけて蒐集した九州古陶磁の コレクションでございます。  昭和25 年よりお客様へのサービスの一環として福岡玉屋百貨店に展示室を設け一般公開をしておりました。  昭和48 年、父が他界しましたので、その遺志を継ぎ財団法人を設立、博物館に登録され正式な美術館として 福岡・小倉両玉屋百貨店で活動しておりました。  バブル経済崩壊後、長引く不況の中、平成11 年に福岡玉屋、平成14 年には小倉玉屋両百貨店を廃業することになり、 展示室を閉鎖せざるをえませんでした。その間、いろいろな御方に相談し、展示室を提供していただけるお話も ございましたが、なかなか折り合わず暗中模索の状態が続いておりました。  そのような時、九州国立博物館と福岡市美術館から熱心な寄託のお申し出をいただいた次第でございます。  所蔵品は一つの館に寄託したほうが良いとは思いましたが、両館に分ける事により、より多くの方々に鑑賞して いただけます。また国、福岡県、福岡市いずれにもご協力したいという思いがございまして、それぞれの館に テーマに沿って分けることといたしました。 両館ともそれぞれの館の特徴をもって所蔵品を活用して頂き、より多くの方々にご覧いただけることを切に願って おります。  最後に展示室を閉鎖中、全国各地よりお問い合せやご心配をしていただいた多くの皆様に、また種々ご配慮、 ご尽力いただきました関係者に対し、この場を借りましてご報告申し上げるとともに、深く感謝を申しあげます。 ぜひ九州国立博物館と福岡市美術館に足を御運びいただきまして、ご高覧くださいますようお願い申しあげます。 平成17 年10 月5 日 財団法人田中丸コレクション 理事長 田中丸 善 司