大一美術館   他の美術館一覧へ
                                      所在地 〒453-0843 愛知県名古屋市中村区鴨付町1-22
                                                          tel  052-413-6777 
                                                  訪問日 2015年4月1日

この美術館についてはガレ、ドームなどのガラス器が展示されている美術館だとは聞いていたが、名前もそれほど聞かないし、ホームページを見ても詳しいことが書いてないので、これまで行ったガラス作品の美術館、箱根ガラスの森、北沢美術館、ラリック美術館、大山崎山荘美術館、飛騨高山美術館などのような期待は持てないと思って入館した。
展示は1階と2階で確かにあまり広くない。
しかし展示されている作品は大変素晴らしいもので充分見ごたえがありました。
下に当日のパンフレットがありますが、『 没後110年 エミール・ガレ回顧展 』が開かれていて1階はすべてガレの作品ばかりで、7,80点はあったかと思います。
各作品にそれぞれの製作技法の説明がついていて、会場内にガラス器の製作技法の説明パネルもあったので、勉強になります。
北澤美術館でも全部だったかどうか覚えていませんが、ガレの作品に同様の説明が付いていました
2階はデイル・チフーリのほか、内外の現代の作家の作品が展示されていました。
ドーム、ラリックの作品は全く展示されていませんでしたが、ホームページにはドーム、ラリックの作品も載っているのでこの時にはは展示されていない作品もかなりあるようで、別の機会に行けば見られると思い、ぜひまた行ってみようと思います。
このページは4月21日にアップロードしましたが、今日(4月22日)あらためて大一美術館のホームムページを見て見ると大幅にリニューアルされていました。
今日から企画展が変わって、《 ガレ&ドーム&ラリック ガラスアート三大巨匠展 》となっており、、ドーム兄弟の作品、ラリックの作品がたしかに展示されています
また、以前のここのホームページがどうであったか知りませんが、昨日までのページは見たいこと知りたいことはほとんど書いてなくて、かなり簡単なものでした。
現在のページは製作者が変わったかコンセプトがが変わったと思われるほど、いろいろくわしく書いてあります。
このページ上部に大一美術館のホームページへのリンクボタンがありますので見てみてください。
ここの美術館は大一商会というという会社のメセナの一環として運営されています。
大一商会は名古屋発祥の娯楽機械パチンコ機の製造を行い、別会社でパチンコ・スロットの遊技場も経営していろところです。
パチンコというとなにか裏街道の産業のように思いますが(昔は私もしばらく夢中になったことがあります)、大一商会のホームページを見ますと、美術館のほか、メセナ活動として市原国際奨学財団を設立して、外国人留学生への奨学金支給と学術研究への助成を行っています。




美術館正面
ここで見る感じより内部は広かった

各種ガラス技法解説

1階展示室
作品の照明以外はかなり暗くしてある

同左

2階展示室
中央に見えるのは
ディル・チフーリのシャンデリア

パンフレットなど




エミール・ガレ回顧展パンフレット表

パンフレット裏面
解説と画像をクリックすると拡大表示されます
館内の展示は暗い中でスポットライトが当たっており
このパンフレットのように全面照明ではないので雰囲気が違います

没後110年 エミール・ガレ 回顧展


エミール・ガレ

エミール・ガレについての
解説

鯉文花器 1878
1878パリ万博出品モデル
葛飾北斎の「魚藍観世音」を
モチーフにした希少作品

花型花器 1900
透明ガラスにアシッドとエナメル彩で
中世風のメダイヨンが表現された
花型の作品

イスラム風騎馬人物文花器 1890
アンバーガラスにエッチィングで
アラベスク模様を彫り騎馬人物と人を
花型文、円文の中に配している

湖景に春の花文花器 1878
ガレ創作活動初期の希少な作品


蝉文花器 1890
初めから凹凸をつけた型に、月光色
とよばれる青みがかったガラスを吹き
込んで、飛翔する蝉を表現した作品

葡萄畑のカタツムリ文脚付杯
1884
水晶風のクリスタルガラス製
 

月型壁飾 1884
バラ色がかった褐色の軟質陶器
外側は目を細めて微笑み、金銀彩
装飾された月をモチーフにし、中央は
海岸で働く人々を描いている

薩摩写獅子香炉 1870
1870年にフランスの美術誌に掲載
された。薩摩焼に着想を得て
製作された

スタニスラス広場文花器 1890
単彩画でナンシー市中心部にある
スタニスラス広場が描かれている
ジャポニズムと西洋のテーマが融合


人物型変わり花器 1880
非常に奇抜なデザインの花器は
ジャック・キャロの銅版画から銅版画
から着想を得て作成された作品


蝉文花器 1880
ガレの作品のモチーフの中で蝉は
よく画材に使われているが、仏教の
輪廻と「はかなき人生」を概念に
おいている。この作品も3匹の蝉が
雷雨にも負けず飛び立っている場面

ジャポニズム菊文鼓型花器 1880
1880年代はガレが日本の意匠に
大きな関心を寄せていた時代であり
軟質陶器を鼓型に成形したこの作品
は、市松模様、唐草模様など日本の
伝統的な模様の描かれたガレの
ジャポニズム作品である

蝉文陶器 1864
釉薬で白地に似せた地肌に花模様を
描き、蝉と青色の花を立体的に表現
したガレの初期の作品



龍型陶器 1864
日本の龍から影響を受けたと思わ
れる力強い大型陶器作品




ジャンヌ・ダルク文花器 
1889パリ万博出品作品
「悲しみの花瓶」と呼ばれる黒色ガラス
シリーズの代表作品
ジャンヌ・ダルクの図柄と「我々の
求める平和とは敵の退散にあり」と
いう銘を手彫りの技術全てを用いて
表現した1点制作品

菊花文花器


茄子型ランプ 1900

ジャンヌ・ダルク文ランプ
1903

蝶文花器 1900
透明地に赤と紫を練りこむように
重ねた被せガラス。上部の蝶は褐色
下部の蝶は黄色に褐色を重ねた
ガラス片をマルケットリーしグラピュールで
仕上げている

蘭と昆虫文花器 1900
青、白のサルシュール入りの透明琥珀色
の地に褐色、乳白色を重ねた被せ
ガラス、蘭の花を器全体にグラピュールし
赤色ガラス製の昆虫は銀箔を挟んで
アップリケしている


海底文脚月杯 1900
多色のサリシュールを施した白色地に
ピンク色を部分的に熔かし込み、
透明層を重ねた被せガラス。脚部は
大理石調でグラピュールで魚と海草を
表現した作品


蜻蛉文脚付杯 1904
1904年に白血病で他界したガレが
生涯に駆使したほぼ全ての技法を
用い、短い生を終えようとするトンボ
の姿に自らの生を投影させた最晩年
の代表作
製作技法:マルケットリー、アンテルカレール、
アプリッカシオン,グラピュール,アンクリュージョン

貝と海草文花器 1900
青のサリシュールと金属片をちりばめた
透明緑地に、褐色、白色の被せガラス
酸で荒削りしグラピュールで仕上げた
海底の図柄

おだまき文花器 1900
黄色地にピンク色を重ねた被せ
ガラスの胴部にピンク色に4本の
ハンドルと薄緑色の台座を熱溶着した
フラワーフォルムの花器

エジプトの蓮文花器 1900
青、緑、赤のサリシュールをまぶした琥珀
色の地に緑色を重ねた被せガラス。
蓮の葉の上に古代エジプトで神聖視
されたスカラベを4匹アップリケしたエジプト
様式の作品

芍薬文酒壺 1900
瓢箪を模した徳利型の作品。
茶色のガラスを被せ釉薬が溶け垂れる
様子を表現している、日本の酒壺を模
したこの作品と類似のものが1900年
のパリ万博に出品されている

同左





イヌサフラン文脚付杯 1900
金箔をちりばめた褐色地にマルケットリー
技法でイヌサフランを表現。グラピュール
技法で仕上げてある


プラム文花器 1920 ガレ工房
あらかじめ凹凸をつけた型に黄色と
紫色のガラスを吹きこみ成形し、
エッチングでプラムを表現した作品


象文スフレ花器 1925 ガレ工房
乳白を帯びた黄色ガラスに緑、黒を
重ねた三層被せガラス、椰子の木の
周りを歩く象の群れを浮き彫り、型を
用いて成形された作はレリーフが繊細
に表現されている

カラー文花器 1920 ガレ工房
スフレ技法でクリーム色の地に赤色、
褐色の被せガラス、エッチングでカラーの
花を表現したガレ第三工房の代表作


中世貴族文水差し 1880
飴色がかった透明素地にステンドグラス
に用いられた彩色技法で中世貴人を
描いている。エナメル絵付けのさまざま
な可能性を追求したガレのの伝統的
作品

神秘の葡萄 1900
透明素地にワインレッド素地を重ねた
被せガラス



アイリス水差し 1900
透明地に白色、うぐいす色、紫色を
厚く重ねた多層被せガラス片を
マルケットリーしている


水仙文花器 1900
透明地に紫の被せガラス、白、黄、紫
等の多色のガラス片をマルケットリーし、
グラピュールで仕上げ、水仙の花を表現

クロッカス文花器 1900
オレンジ色の地に褐色の被せガラス、
クロッカスの花は赤、緑、紫のガラス片を
マルケットリーしグラピュールで仕上げてある

草花文花器 1900
ガラスとガラスの層の間に草花文を
封入し、乳白色の表面層のガラスを
グラピュール仕上げをした作品

睡蓮文花器 1900
茶褐色地に多色のガラスをマルケットリーし
睡蓮の花と葉を表現、「彼は美しい
明かりを見、そして愛した」という詩が
刻まれている

ローズ・ド・フランス 1900
多色を封入したガラス地にピンク色の
多層ガラス。 蕾と茎はアプリカッションを
使用しグラピュールで仕上げた
「薔薇シリーズ」の1作

好かれるための気遣い 1889
ガレがアンティークグリーンと命名した青緑
の4層ガラス
「Sauci re Plaire」好かれるための
気遣いの語が深く彫刻されている
1889パリ万博出品作品

獅子型燭台 1880
ヨーロッパ王家の象徴である獅子型
燭台に、日本の伊万里焼風の文様を
多色で描いたガレスタイルの作品

蛙と魚文貝型陶器 1883
2匹の鯉に手綱をつけ、貝の上に乗り
水上を行く蛙がモチーフ、多色で絵付け
が施された軟質陶器

黒猫 1880
ハート文猫 1884


現代ガラスアートの巨匠デイル・チフーリ の世界


2階に展示されているデイル・チフーリの作品は、1階に展示されているエミール・ガレのものとは全く違う世界を構成している。 ガレの作品が作品そのものの訴えるものを作品の力、価値、などと考えているのに対し、ディル・チフーリの作品は作品の置かれた部屋、 庭などと一体となって見る人の訴えかけることを念頭に製作されているものが多いように思われる。


 
デイル・チフーリについての
wikipedia
 

シャンデリア
吹き抜け部分にある
正面は入り口の扉、手前は2階への
階段(撮っていないが)

ベネチアン
右に説明があります


イタリアのマエストロと始めた
シリーズとありますがイタリアの
マエストロとは?わかりません

ウォーター・リード(水中のあし)
右に説明があります



シャンデリアとベネチアン

ウォール・インスタレーション
右に説明があります

同左


昨年、TOP OF THE ROCKへ
上ったがこんな部屋には気が
つかなかった

オレンジマキア 1995
”マキア”とは斑点といった
意味のようである

いけばな 1995


コバルト プチ ヴァッセル
1991



その他現代ガラスアート作家ジョン・ブレッケ、
マッシモ・ノルディオなど
の作品



タ コ 2003
ジョン・ブレッケ
緑色のガラス地に橙、白、茶を重ねた
被せガラス、サンドブラストによりタコ文様
を浮き彫りにしている。仕上げに透明
ガラスを被せた作品

燕 2003
ジョン・ブレッケ
黄色ガラス地に白、茶を重ねた三層
被せガラス。 サンドブラストにより燕、星
文様を浮き彫りにしている

タ コ 2003
橙色ガラス地に赤、青を重ねた三層
被せガラス。サンドブラストによりタコを
浮き彫りにしている。仕上げに透明
ガラスを被せた作品

聖なる器 2004
ブライアン ハースト


亥 2001
マッシモ ノルディオ
ここには5点のみ掲載したが12支が
全部そろっていた

戌 2001
マッシモ ノルディオ


酉 2001
マッシモ ノルディオ

寅 2001
マッシモ ノルディオ

丑 2001
マッシモ ノルディオ

木枯らし文壺 2004
松本正雄
福井大学卒業後、独学でガラス工芸
を始める。何層にも被せられたガラスを
キャンパスにサンドブラストやグラビュール
といった技法で四季折々の草花や
果実を鮮やかに表現している

都大路 2000
小林 貢
幾何学的な扱いの文様が、整然とした
京の街並を連想させる。



源氏物語 2000
小林 貢
金箔により艶をおさえた色ガラスの
文様と輝きのあるガラスの線模様の
調和が平安貴族などの意匠を連想
させる

萌序 2014
勝川夏樹
1991年東大阪市生まれ、近畿大学
造形芸術専攻を卒業し東京芸術大学
大学院美術研究科ガラス造形研究
分野修士課程入学
個展 ガラスの妖精たち(大阪)

花序 2014
 以下 同左


左 Historie de la Bible 2014
籐堂
右 海の魚たち 2000    
樋口正道 

未来からのメッセージ 1998
シンジ・オームラ

ダイヤモンド カット シリーズ
1996
リチャード・ロイヤル

ヌード 1999
マーチン・ブランク

熱心に展示作品を鑑賞して疲れた。
午前中の見学だったのでお腹が空くと思い、あらかじめ食事のできるが所を探したが、この美術館は名古屋市内にあるのにもかかわらず近くに適当なところがなかったので、美術館でおすすめの食事処を聞いた。
そこで聞いた美術館から7~8分のところにある「ながや」という蕎麦屋さん(美術館ではうどんやさんと言っていた)に行った。
そんなことでまったく期待していなかったが、思いのほかおいしく、また接客も良かった。
聞けば、もともと父から継いだ時は出前主体のうどん屋だったが、名古屋では名の知れた蕎麦屋「紗羅餐」で修行し、お客に店に来てもらえるような店にしたいと努力したとのこと。
美術館を訪問されたらこの店にも行かれることをお勧めする。
        


  




菊花文花器 龍型陶器 茄子型ランプ